放置車両の撤去方法(1)
放置車両の所有者の確認方法にて、登録車両の所有者・使用者調査の方法を説明しました。今回からは、放置自動車撤去の法的手続きについて説明します。
放置自動車撤去の法的手続きは、陸運局登録の有無によって、以下の2つに分かれます。
(1)陸運局登録(陸運局のナンバープレート付き)の普通自動車は、法律上、不動産と同じ性質を持っています。したがって、陸運局の登録がされている自動車は、差押え・売却手続が不動産競売とほぼ同じ手続で行われます。この競売は、自動車競売手続きと呼ばれます。
(2)陸運局登録のない(廃車され陸運局のナンバープレートが付いていない)普通自動車と軽自動車(登録の有無を問わず)は、法律上、動産と同じ性質を持っていますので、一般の動産として差押え・売却手続が行われます。これを動産競売の手続といいます。
さらに、所有者の状況として、
(A)所有者と連絡が取れる場合
(B)所有者と連絡が取れない場合
の2つが考えられます。
今回は、「(1)陸運局登録の普通自動車」で、かつ「(A)所有者と連絡が取れる場合」の撤去方法について説明します。
陸運局登録車両の撤去方法(所有者と連絡が取れる場合)
陸運局登録車両で、その所有者と連絡が取れる場合、次のような手順を取ります。
1)内容証明郵便で、未払駐車料の請求、契約の解除通知、自動車撤去・駐車場明け渡しの請求をする。
手順及び記載内容は次の通りです。
①平成○年○月○日までに未払駐車料○○円を支払って欲しい。
②①の期限内に未払駐車料の支払いがない場合には、不払いを条件としてこの内容証明郵便により解除の意思表示を行う。
③②により解除がなされた場合、解除の日から○日以内に自動車の撤去、駐車場の明け渡しを請求する。
2)内容証明郵便が戻ってきた場合は、再度送り状をつけて普通郵便で発送する。
借主が不在がちなどの場合、内容証明郵便が受け取られない時があります。そのような場合には、送り状を付けて、再度、普通郵便で発送します。
送り状には「○月○日にお送りした内容証明郵便が、留置期間経過で返ってまいりました。改めて本日○月○日に普通郵便でお送りします」といった記載をし、裁判の際の証拠としてコピーを保存しておきます。
3)土地明渡及び未払駐車料支払を求める訴訟を起こす。
1)2)の作業を借主が無視した場合、ちょっと面倒になりますが、訴訟を起こすことになります。そこで行う意思表示・請求のポイントは次の通りです。
・契約解除の意思表示
・駐車場(土地)の明け渡し請求
・未払駐車場料の支払い請求
・解除後の不法占拠に対する賃料(駐車料)相当損害金の支払い請求
4)判決を取得する。
裁判所にて判決を取得します。借主が欠席した場合は、「欠席裁判」として貸主は簡単に勝訴判決を得ることができます。
5)自動車の差押え(自動車競売)を裁判所に申し立てる。
未払駐車料等の支払い請求権を根拠に自動車の差押え(競売手続)を行い、貸主が自己競落するか、他者に競落してもらいます。自分で直接中古車屋に話をして競落してもらっても良いでしょう。
めでたく自動車競売で車を競売し撤去、処分できれば、これで、事件は解決です。
6)自動車競売で処理できなかった場合、不動産の明け渡し執行を行う
ただし、自動車の価格評価で価値があると認められない場合、すなわち、競売手続き費用をまかなえる程度の価値がない場合、裁判所は自動車の差押え(自動車競売)を途中で取り消してしまいます。
そのような場合は、すでに出ている判決に基づき、土地明渡の強制執行をします。土地明渡の強制執行は、執行官が行ってくれます。明渡執行の際、価値がなく自動車競売で処理が出来ない車両は、貸主の駐車場(土地)の明け渡しに伴う残置物であり、ゴミとして処理することができます。
なお、必要な評価額の目安は、おおよそ10万円以上のようです。
7)登録自動車をゴミとして廃棄処分する場合の問題点
ナンバープレートがついていますので、廃車手続の必要があります。ところが、廃車手続は車の所有名義人しかできません。土地の明渡執行で、ゴミとして登録自動車を廃棄処分する際、貸主は廃車手続を行うことができないのです。
実務上は、ナンバープレート付きのまま、登録自動車を解体業者に引き取ってもらっているのが実情のようです。
参考:
『神奈川宅建広報』2007.12 No.392 10~11頁 「立川せんせいの実務お役立ち教室No.16」
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Posted at 07/12/06 17:12 | Edit
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